自己破産

ローンで買ったものは自己破産で没収される?

自己破産を行うと、借金を帳消しにできる反面、一切の財産を失うと思いがちです。実際は、すべての財産を失うのではなく、手元に残せる財産もあります。中でもローンで買うのが一般的な住宅や自動車などは、生活に欠かせないものであり、どのように取り扱われるのかは知っておくべきでしょう。

そこで本記事では、自己破産におけるローンで買ったものの取り扱いについて、没収されるのかどうか、引き揚げされない方法、手続きをする上での注意点などを詳しく解説します。

目次

自己破産における財産の取り扱い

自己破産において、ローンで買ったものがどのように扱われるかを解説する前に、一般的な財産の取り扱いについて知っておきましょう。

自己破産は、借金がゼロになる代わりに、一切の財産を失うと思いがちですが、実際はそうではありません。自己破産者が残せる財産として、「自由財産」が定められていて、自由財産であれば自己破産後も所有することができます。

自由財産は、大きく分けて新得財産・差押禁止財産・破産財団から放棄された財産・自由財産の拡張がなされた財産・99万円以下の現金の5つです。ひとつずつ簡潔に解説していきます。

新得財産

新得財産とは、自己破産手続きの開始後に取得した財産です。自己破産で失う財産の対象にはならないので、例え住宅や自動車だったとしても、財産の処分対象には該当しません。

差押禁止財産

差し押さえとは、債務者に対して行われる強制執行のことで、返済の代わりに財産を回収する手段を指します。差押禁止財産は、文字通り差し押さえができない財産で、生活必需品などが対象です。そのため、自己破産をしても住宅で利用していた家具や家電などは手元に残すことができます。

破産財団から放棄された財産

破産財団とは、自己破産者の財産を管理するための財団です。回収した財産すべてが管理されるのではなく、買い手がつかない高価な財産や売り払うために費用がかかる財産などは、破産財団から放棄されます。放棄された財産は自己破産者の手元にかえってくるので、大切にしていた財産が戻ってくるかもしれません。

自由財産の拡張がなされた財産

自由財産の範囲を超えて手元に残したい財産がある場合、自由財産の拡張を申請することができます。申請が認められると、本来は残さなかった財産でも処分されずに済む可能性があります。

99万円以下の現金

自己破産をすると一文無しになるというイメージがあるかもしれません。実際は自由財産だけでなく、99万円以下の現金も手元に残ります。最低限のお金を持った上で再スタートを切れるので、自己破産は必ずしもネガティブなものではありません。

自己破産をするとローンで買ったものはどうなるのか

自己破産をしても自由財産は残しておけますが、ローンで買ったものは取り扱いが異なるので注意が必要です。住宅・自動車、家具、家電などの品目ごとに取り扱いを説明します。

ローンで買った住宅

住宅はローンで購入する場合がほとんどでしょう。住宅ローンが残っている場合は、所有権は債務者ではなく、ローン会社にあります。返済能力がないため、ローンが残っている住宅は原則処分されてしまいます。

住宅ローンを支払い終えていたら維持できると捉えがちですが、住宅は財産の中でも高価であり、処分の対象になる場合がほとんどです。自己破産において、ほとんどの場合ローンに関わらず住宅を維持することはできません。

ローンで買った自動車

住宅に次いで、生活に欠かせない財産のひとつが自動車です。住宅と取り扱いが似ていて、自動車をローンで購入していて支払いが残っている場合、所有権はローン会社・販売会社にあります。自己破産をすると原則として乗り続けることはできず、引き揚げられることがほとんどです。

住宅と異なるのは、ローンの支払いが終わった自動車の取り扱いです。ローン支払いが終わっているならば自動車は自分のものであり、引き揚げを免れられる可能性があります。その条件は、中古車市場での価値が20万円以下であることです。20万円以上の財産は処分しなければなりませんが、それ以下なら自動車を維持できます。

また、自動車がなければ生活ができないと裁判所が判断した場合も、自動車に乗り続けられます。地域柄自動車が必要な場合や家族の介護などで自動車が欠かせない場合には、自動車を回収されずに済むでしょう。

ローンで買った家具・家電

家具・家電は自由財産に含まれるので、基本的には回収されずに所有することができます。ただし、ローンで買った家具・家電で支払いが残っている場合は例外です。

住宅と自動車と同じく、ローンを完済しない限り所有権はローン会社にあるので、ローン会社の判断で家具・家電を引き揚げられるかもしれません。名義が誰なのかで、取り扱いが異なるので、あらかじめローン会社の規約などで、誰名義かを確認しておきましょう。

クレジットカードの支払いが残っているもの

住宅や自動車、家具・家電のローン購入以外に、クレジットカードの支払いが残っているものも要注意です。

この場合、クレジットカード会社に所有権があるので、自己破産のタイミングで支払いが済んでいないものは引き揚げられる可能性があります。クレジットカード会社の判断により、引き揚げられない事例も多いようです。クレジットカードでショッピングを多くしているなら、支払いが完了しているかを確認しておきましょう。

自己破産でのローンで買ったものの引き揚げを防ぐ方法

ローンで買ったもので支払いが残っている財産には、所有権がないので回収される場合が多いです。ただ、どうしても生活に必要な財産、大切にしていたから手元に残したい財産など、何としてでも所有を続けたいものもあるでしょう。ローンで買ったものには引き揚げを防ぐ方法がいくつかあるのでご紹介していきます。

第三者にローンを完済してもらう

ローンで買ったものを所有し続けるためには、ローンを完済しなくてはいけません。債務者自身で完済することは難しいため、どうしても所有を続けたいものは第三者にローンを完済してもらうのが方法のひとつです。ローンを肩代わりにしてくれる人を見つければ、財産を維持できるでしょう。

第三者に買い取ってもらい借りる

第三者にローンを完済してもらう方法以外に、財産そのものを買い取ってもらうのも考えておきたい選択肢です。第三者に買い取ってもらった住宅や自動車などを借りれば、所有権はないものの、生活をする上で必要な財産は維持できるでしょう。

個人再生を検討する

自己破産では、住宅や自動車などの財産を失ってしまう場合がほとんどですが、個人再生では財産を強制的に失うことはなく、柔軟に維持する財産を選択できます。

住宅については、住宅ローン特別条項という制度が適用され、借金を減額しつつ住宅ローンは払い続けるという選択肢をとれます。骨董品などの高価な財産についても同様で、返済額の範囲内であれば、財産を残すことができます。マイホームに住み続けたい、財産を少しでも残したいという方は、個人再生を検討してみましょう。

ローンで買ったものの取り扱いで注意すべきポイント

ローンで買ったものは、完済していない限り維持するのは難しいです。どうしても残したい財産があり、第三者には頼れない場合に、財産を隠そうなどと考えかねません。ローンで買ったものの取り扱いによっては、自己破産手続きができない場合もあるので、注意すべきポイントをしっかりおさえましょう。

自己破産手続き中に残したい財産だけ完済することはできない

住宅や自動車、家具・家電などローンで買ったものの中でも、残しておきたい財産は人それぞれです。「住宅や家具・家電はしょうがないけど、自動車だけは支払いを続けよう」と思ったとしても、自己破産ではできません。

自動車ローン以外にローンを組んでいたり、貸金業者からお金を借りていたりする場合、自動車ローンだけを支払っては債権者に不平等が生じます。自己破産は、債権者に平等に分配されるのが原則なので、財産を選んで債務整理することは不可能です。場合によっては、自己破産が認められなくなるおそれがあります。

ローン隠しは自己破産の失敗につながる

ローンを隠してしまえば没収されずに済むという考えも捨てましょう。ローンを組んだ記録などが残っているので、知られずに自己破産が成功する可能性は限りなくゼロに近いです。知られてしまうとローン隠しをしたと認められ、自己破産を進めることはできず、借金が残ってしまいます。

住宅については回収される場合がほとんどですが、自動車ならローンが残っていても生活状況などを考慮して乗り続けられる可能性があります。ローンがあっても誠実な態度で正直に状況を話すことが大切です。

名義変更は財産隠しを疑われるリスクがある

自己破産の対象は債務者自身であるため、ローンで買ったものの名義を変更すれば財産を没収されないと思いがちです。

しかし、自己破産の手続き中などに名義変更をすると、財産隠しを疑われる可能性があります。ローンがないと偽った時と同じように、自己破産の対象外になるおそれがあるので、名義変更を行ってはいけません。

自己破産後はローンを組めるのか

自己破産後にローンを組めるのかも気になるポイントでしょう。自己破産手続き完了後に新たに住宅を購入したい、自動車に乗りたいと思った時、ローンを組めるのでしょうか?自己破産後のローンについて詳しく説明します。

ブラックリストから抹消されればローンを組める

住宅や自動車などのローンが残った状態で自己破産をすると、金融事故を起こしたとしてブラックリストに記録が残ります。信用情報に傷がつくので、ブラックリストに登録されている間は、クレジットカードをつくったり、住宅・自動車ローンを組んだりすることはできません。

ブラックリストに登録されると、その先ローンは組めないと思いがちですが、信用情報は永遠には残りません。およそ5年~10年間記録が残ると言われており、期間を過ぎるとブラックリストから抹消されます。抹消されたタイミングであれば、住宅や自動車などのローンを組むことができます。

自己破産後の制限は特に設定されていない

自由財産のひとつに新得財産があるように、自己破産後に取得された財産は自己破産の処分対象にはなりません。すぐに住宅や自動車などの高額なものをローンなしで購入するのは難しいですが、特に財産取得の制限は設けられていないことを覚えておきましょう。

まとめ

今回は、自己破産におけるローンで買ったものの取り扱いについて解説しました。自己破産では自由財産に含まれる財産は残せますが、ローンで買ったものは処分されることがほとんどです。特にローンが残っている場合は、所有権が自分にないので住宅や自動車、家具・家電などの品目に限らず、処分対象となってしまいます。

どうしても残したい財産があるならば、第三者にローンを完済してもらう、第三者に購入してもらいそれを借りる、個人再生をするという3つの方法があります。ローンで買ったものの取り扱いをしっかり理解して、自己破産手続きを進めましょう。

弁護士法人きわみ事務所
代表弁護士 増山晋哉
登録番号:43737

昭和59年大阪府豊中市生まれ。平成21年神戸大学法科大学院卒業後、大阪市内の法律事務所で交通事故、個別労働紛争事件、債務整理事件、慰謝料請求事件などの経験を積み、平成29年2月独立開業。

きわみ事務所では全国から月3,500件以上の過払い・借金問題に関する相談をいただいております。過払い金請求に強い弁護士が累計7億円以上の過払い金返還実績を上げていますので、少しでもお困りのことがあれば無料相談をご利用ください。

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