自己破産

自己破産をしても滞納している自動車税の支払いは必要?

自己破産をすればすべての借金の返済義務がなくなると思っていませんか?
実は、自動車税を始めとする税金などは、自己破産をしても支払い義務が残るのです。

自己破産をするほどの借金を抱えている場合、自動車税を滞納してしまっているケースも多いでしょう。

自己破産をしても自動車税の支払い義務がなくならない理由、自己破産では免責されない債務の種類、自動車税の支払いができないときの対処法について説明していきます。

目次

自己破産をしても自動車税の支払い義務はなくならない?

いくつかある債務整理の方法の中でも、自己破産は借金の返済義務をなくすことができる最終手段だといえます。

最低限のものを除き、財産は没収され債権者への返済にあてられますが、裁判で免責が認められると借金問題から解放されます。

しかし、自動車税を滞納している方は注意してください。
自己破産をしても返済義務が残る債権もあり、自動車税もその1つなのです。

4/1に自動車を所有していたなら自動車税の負担あり

自動車税は毎年4月1日の時点で三輪以上の小型自動車、普通自動車を所有している人に課される地方税です。

自動車税の納付通知書が届くため、5月末の納付期限までに支払いをすることになります。
もし納付期限を過ぎてしまったなら、延滞金が発生し、長期の延滞になると差し押さえのリスクもあるのです。

ちなみに、自動車ローンの支払い途中である場合、所有権は留保されていますが、自動車税の支払い義務は購入者にあるので覚えておきましょう。

自動車税などの税金は免責されても支払い義務は残る

様々な借金の支払いが厳しくて、自己破産をした場合、消費者金融や銀行のカードローン、住宅ローン、自動車ローン、個人間の借金などの支払い義務はなくなります。

実際には、手続き後、裁判所で免責許可を受ける必要はありますが、自己破産をすることで借金の返済に追われることはなくなるのです。

ただし、自動車税などの税金は「非免責債権」にあたるため、たとえ免責許可が下りたとしても、支払いの義務は残ります。

非免責債権にはいくつか種類がありますが、自己破産をしても滞納している税金の支払いは必要だと考えてください。

破産法の第253条には、次のように記されています。

免責許可の決定が確定したときは、破産者は、破産手続による配当を除き、破産債権について、その責任を免れる。ただし、次に掲げる請求権については、この限りでない。

  • ①租税等の請求権
  • ②破産者が悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権
  • ③破産者が故意又は重大な過失により加えた人の生命又は身体を害する不法行為に基づく損害賠償請求権
  • ④次に掲げる義務に係る請求権
    • イ 民法第752条の規定による夫婦間の協力及び扶助の義務
    • ロ 民法第760条の規定による婚姻から生ずる費用の分担の義務
    • ハ 民法第766条の規定による子の監護に関する義務
    • ニ 民法第877条から第880条までの規定による扶養の義務
    • ホ イからニまでに掲げる義務に類する義務であって、契約に基づくもの
  • ⑤雇用関係に基づいて生じた使用人の請求権及び使用人の預り金の返還請求権
  • ⑥破産者が知りながら債権者名簿に記載しなかった請求権
  • ⑦罰金等の請求権

引用元:破産法 第253条

自動車税は第1項の「租税等の請求権」に該当するため、自己破産をしても支払いが残るのです。

自己破産をしても支払い義務がある租税債権とは?

自動車税以外にも自己破産をしても返済義務が残るものはいくつかあります。

例えば、次のようなものは破産法における租税等の請求権(租税債権)にあたるため、滞納しているなら支払いが必要です。

【主な租税債権】

  • ①国税・地方税
    • 自動車税
    • 所得税
    • 住民税
    • 固定資産税
  • ②社会保険料
    • 国民年金
    • 国民健康保険
  • ③その他
    • 保育料
    • 下水道使用料 など

自己破産をしても自動車税の支払いが必要な理由

自動車税は非免責債権なので自己破産をしても免責されないと説明しましたが、もう少し細かく分類することができます。

自動車税などの税金は、納付期限がいつかによって「財団債権」と「優先的破産債権」に分けることができるのです。

財団債権は自己破産の対象外

税金のうち、納付期限が直近1年以内のものは財団債権に分類されます。
財団債権の場合には、そもそも自己破産の対象外です。

そのため、納付期限を過ぎている1年以内の税金、すでに発生しているこれから納付期限を迎える税金は自己破産をしても支払わないといけません。

税金は対象者全員から平等に徴収されるべきものなので、財団債権は他よりも優先順位が高く設定されているのです。

優先的破産債権は免責されない

破産者にとって支払い義務が残るという点は一緒なので深く考える必要はありませんが、納付期限から1年以上が経過していて、滞納している税金は優先的破産債権に分類されます。

優先的破産債権は自己破産の対象にはなりますが、非免責債権なので免責を認められても債務はなくなりません。

「優先的」と付くため少し分かりにくいですが、財団債権よりは優先度が下がります。

何に対して「優先的」なのかというと、その他の債権です。

自己破産によって没収された財産は換価されて債権者への配当になりますが、1年以上前の滞納している税金は他の債権よりも優先して分配されるのです。

手続き前の差し押さえは自己破産をしても止まらない?

借金や税金などを滞納していると、財産や給与の一部が差し押さえられる可能性があります。

この点は金融機関や個人からの借金でも、自動車税などの税金の滞納でも一緒です。

しかし、金融機関などからの借金なのか、税金の滞納なのかによって差し押さえの流れが異なるので注意してください。

一般的な借金の滞納の場合

カードローンや住宅ローンなどの借金の返済が滞っている場合、債権者は裁判所に対して差し押さえを求める訴えを起こします。

このケースでは、裁判所の判決を待ち、債権者側の訴えが認められれば債務者の財産を差し押さえることが可能です。

しかし、債務者は自己破産をすることで差し押さえを中断することができます。

自己破産の手続き開始後は、特定の債権者だけに返済することはできません。

財産があれば換価処分した後、平等に債権者への配当に回されるのです。
そして、自己破産で免責許可が下りれば、手続き開始前の差し押さえは完全に効力を失います。

自動車税を滞納している場合

一方、自動車税などの税金を滞納してしまっている場合、国や地方自治体は裁判所を通さなくても強制的に徴収することができるのです。 これを「滞納処分」といいます。

なぜこのような対応が認められているのかというと、税金が滞納される度に裁判を起こして差し押さえをしていてはスムーズに行政を行えないためです。

この滞納処分であっても、自己破産の手続き開始後であれば差し押さえはできません。
ただし、手続きの開始前から差し押さえが行われていた場合、自己破産によって差し押さえを中断することはできないのです。

自動車税の支払いができない場合の対処法

自己破産をしても税金は免責されないとなると、高額な自動車税を滞納してしまっている場合にはどうすれば良いのでしょうか?

ここからは自動車税の支払いが難しいときの対処法について説明していきます。

自動車税を支払えないときは所管の窓口に相談

自動車税に限った話ではありませんが、税金の支払いに関しては所管の窓口で相談することができます。

自動車税は都道府県ごとに納める地方税なので、お住いの地域の税事務所で相談してください。
自動車税の納付期限が過ぎると督促状、催告書などが届くようになりますが、できるだけ早い段階で相談することが重要です。

窓口で相談をすれば分割払いが認められることも

基本的に自動車税は1年分をまとめて納付しますが、どうしても支払いができない場合には、分割払いが認められるケースもあります。

自己破産をしているなら生活に余裕がないのは明白ですし、債権者としては少しでも確実に徴収しておきたいと考えるはずです。

分割払いの相談をするときには、なぜ一括で支払えないのか、何回払いでいつまでになら支払えるのかを考えておきましょう。

本来は一括で支払うべき自動車税は、相談したからといって無条件に分割払いが認められるものではありません。

自己破産をするほど生活が苦しいことを説明し、自動車税を支払う意思はしっかりとあることを示すことが重要です。

自動車税を滞納するデメリット

自動車税を滞納している場合、納付期限の翌日から延滞金が発生します。
ただでさえお金に余裕がないのに、滞納すると本来の自動車税に加えて、延滞金の負担も必要なのです。

また、自動車税を滞納している状態では、その車を車検に通すことはできません。
これは、窓口で相談をして分割払いを認めてもらったケースでも同様です。

分割払いで支払いをしている途中だとしても、滞納の扱いになるため車検は通らないのです。

さらに、前述の通り、自動車税を滞納していると差し押さえも行われます。
対象は給与、預貯金、自動車などの財産です。

自動車税の滞納に対する差し押さえは強化されており、場合によっては自動車にタイヤロックを取り付けるケースもあるようです。

県は強化期間中、自動車税差押警告書を発送し、予告した期日までに納税しなかった対象者の財産を調査し、預貯金や給与、債権、不動産などを差し押さえる。

自動車の差し押さえでは車両にタイヤロックを取り付けて使えなくすることもある。
引用元:東京新聞 Web版 「自動車税滞納者 差し押さえ強化 県が来月までネット競売も」

滞納している自動車税にも時効がある

自己破産をしても自動車税が免責されないのは説明の通りですが、一定の条件を満たすことで自動車税が時効になるケースもあります。

簡単に自動車税が時効になるまでの流れを見ていきましょう。

①自動車税の納付期限を過ぎると督促状が届く

自動車税は5月の末日が納付期限ですが、滞納しても翌日に差し押さえが行われるわけではありません。
自治体による差もあるかもしれませんが、納付期限の1ヶ月後を目安にまずは督促状が届きます。

②最終通告である催告書が届く

督促状が届いても滞納を続けた場合、また1ヶ月後に催告書という書類が届きます。

③差し押さえが行われる

この催告書は最終通告で、書類に記載されている期限までに自動車税を納付しないと差し押さえが行われます。

④滞納処分が停止になる

催告書の期限を過ぎると差し押さえが行われますが、中には生活が本当にぎりぎりの人もいるでしょう。
差し押さえによって最低限の生活が送れなくなるケース、そもそも差し押さえる財産を所有していないケースでは滞納処分が停止されます。

⑤3年が経過すると自動車税は時効になる

滞納処分が停止になったまま3年間が経過すると自動車税の請求権はなくなります。

つまり、自動車税を支払わなくても良くなるのです。

金融機関などからの借金では、「時効の援用」という手続きをしないと債務はなくなりません。
しかし、自動車税などの税金の場合には、時効の中断がなく規定の年数が経過すると自動的に時効が成立します。

繰り返しになりますが、税金は対象者から平等に徴収されるべきものです。

そのため、自己破産をしても免責はされませんが、時効が成立すれば納税の義務はなくなるのです。

法人が破産した場合、自動車税はどうなる?

最後に法人が自己破産をした場合の自動車税の扱いについても確認しておきましょう。

法人が自動車税などの税金を滞納したまま破産すると、支払いの請求先がなくなります。
つまり、自動車税が未納でも破産すれば法人としての支払いは不要になるのです。

破産の手続きをすると、会社の財産が換価され債務の返済にあてられます。
それで未納の税金が残ったとしても、それ以上の支払いを要求されることはありません。

例外になるのは、法人の代表者が「納税保証書」を提出しているケースです。
この場合には、法人が滞納している税金の請求は納税保証人に来ます。

自動車税は自己破産をしても免責されない!自治体の窓口で分割払いの相談を

自動車税は非免責債権なので、自己破産をしても支払い義務が残ります。
4月1日の時点で自動車を保有していたのであれば、その後、自己破産によって自動車が引き上げ、差し押さえられても支払いが必要です。

大元の債務に比べると少額かもしれませんが、自己破産をした後に支払いをするのはなかなか難しいですよね。
税金の支払いにも時効はありますが、時効を狙うのは現実的ではありません。

そのため、自動車税の支払いが難しいときは、所管の税事務所などで分割払いの相談をしましょう。
しっかりと自動車税を支払う意思があること、誠意を示せば分割払いを認めてもらえる可能性が高いです。

弁護士法人きわみ事務所
代表弁護士 増山晋哉
登録番号:43737

昭和59年大阪府豊中市生まれ。平成21年神戸大学法科大学院卒業後、大阪市内の法律事務所で交通事故、個別労働紛争事件、債務整理事件、慰謝料請求事件などの経験を積み、平成29年2月独立開業。

きわみ事務所では全国から月3,500件以上の過払い・借金問題に関する相談をいただいております。過払い金請求に強い弁護士が累計7億円以上の過払い金返還実績を上げていますので、少しでもお困りのことがあれば無料相談をご利用ください。

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